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2010年10月 Archive
キャロリーヌ・リーの眼
- 2010-10-06 Wed 17:14:00
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「書」を「美術」として見つめ、しかも海外の彫刻家の眼には、どのように映るのか。
パリから直接、審査員を招き、日本でのいっさいの肩書きにとらわれずに、
「感性」で、審査をして貰うことになっている。

こんな趣旨のもとに行なわれた今回の展覧会。
審査にあたっては「賞」の決定に限らず、入選作品の選定に関しても、
企画側の日本人は、いっさいの口出しをしなかった。

長旅のキャロリーヌは、高齢でもあり、無事に審査が進むのか、と、
内心、不安もあったのだが、いざ審査を始めると、
彼女の眼は鋭く光り始め、まるで別人のように急激に輝き始めたのだ。



さすが、だと思った。
単身、シカゴからパリへ渡り、自分の「作品の力」だけで、
ピカソやミロ達の意志を引き継ぐ、サロン・ド・メの会長にまで登り詰めた作家だ。

普段のフランクでお茶目な、キャロリーヌではなく、
厳しい眼と意志を持ったキャローリーヌ・リーというひとりの彫刻家が、
この企画の全責任を背負った「感性」で、そこに立っていた。
入選作の選定に当たっても、ただ選ぶだけではなく、
「この隣に、あの作品を持って来てみて」と、陳列のレイアウトにまで指示が飛ぶ。
結局、彼女の「眼」が会場の空間全てを形作ることになった。


すべての入選作品が決定し、その日の彼女の仕事が終わった時、
「イズミ、プロミス!」と、私に英語で、話しかけ、
「明日、会場での陳列が済んだ時に、何か不都合だと感じられることがあったら、
必ず私に言って欲しい。絶対に、これは約束だよ」と。
もちろん私には何の不満もなく、彫刻家キャローリーヌ・リーの「感性」に、
ただただ圧倒された、入選作品決定の夜だった。
それと同時に、大変なことはたくさんあったけど、
この企画「やって良かったな」と思える、心から嬉しい時間でもあった。

■キャロリーヌ・リーについて
http://
■サロン・ド・メについて
http://
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